ヤマモミジの剪定は、ほとんどの葉が落ちる11月下旬~2月ごろにおこなうことをおすすめします。なぜなら、夏場に剪定をおこなうと、枝が切った以上に伸びようとしたり、徒長枝(とちょうし)が切ったところから生え、栄養分を取ってしまったりするからです。
このほかにも、紅葉を最後まで楽しんでから剪定するという理由もあります。当コラムでは、ヤマモミジの剪定方法についてご紹介していきます。剪定で樹形を整え、秋に紅葉したヤマモミジを楽しむために、ぜひお役立てください。
ヤマモミジの剪定に適した時期は落葉あと
ヤマモミジの剪定はほとんどの場合、葉が枝から落ちたあと(落葉後)におこないます。葉が落ちたあとにおこなえば、紅葉を最後まで楽しむことができますし、剪定する際にどの枝が不要かも確認しやすくなります。
この章では、剪定方法についてご紹介していきます。また夏場に剪定をおすすめしない理由もご説明していますので、あわせてご覧ください。
準備するもの
まずは剪定に必要な道具を準備しましょう。
〇道具
- 剪定用のハサミ
- 剪定用のノコギリ
- 脚立
- 作業着
- 作業用手袋
- ほうき
- ゴミ袋
- 癒合剤(ゆごうざい)
上記に挙げた道具はホームセンターや園芸店、ネット通販で購入することが可能です。ヤマモミジの苗を購入するときや、剪定をしようと思ったときなどに購入すると慌てず準備することができるでしょう。
剪定方法
道具の準備ができたら、以下の手順で剪定をおこなっていきます。
〇手順
- 勢いよく伸びている枝や、木の内側に向かって生えている枝などを剪定用のハサミで切り落とす(太い枝を切る場合は剪定用のノコギリで切る)
- 風などで折れている枝も不要なので切る
- 剪定後、切った枝の切り口部分に癒合剤を塗る
切ったあとの枝は傷ができやすいため、傷口部分から雑菌が入ってしまうおそれがあります。その予防として癒合剤を塗る必要があるのです。
夏場に剪定をおすすめしない理由
ヤマモミジは夏場に一番生長する植物です。樹形や日当たり・風通しをよくするのに枝を切ったとしても、切る前以上に枝を伸ばそうとします。また、切ったところから徒長枝という不要な枝が生えることが多いです。
徒長枝はすでにある枝よりも生長の勢いが強いため、栄養分を独占してしまいます。そうすると、ほかの枝に栄養分が行き渡りにくくなって、樹勢が弱まり枯れてしまうおそれがあるのです。
このほかにも、ハチがヤマモミジの枝に巣を作っていると刺される危険性もあります。これらの理由により、夏場に剪定をおこなうことをおすすめできないのです。
どうしても冬まで待てない場合は、活発に成長する前の7月初めに剪定を済ませておくか、生長が落ち着いた9月ごろに樹形を整える程度の剪定をおこなうとよいでしょう。
ヤマモミジは庭木にもおすすめ
ヤマモミジをきれいに紅葉させるには、剪定以外にも育てる場所や、水を与える頻度なども大切です。この章では、ヤマモミジの育て方や発生しやすい病害虫について解説していきます。
栽培環境
ヤマモミジは日当たりがよいほうが、紅葉がきれいになります。ただ乾燥には弱いので、庭に植える場合は夏場に強い直射日光や西日が当たる場所は避け、午後は陰になる半日蔭に植えるとよいでしょう。
鉢植えの場合も、基本的に日当たりと風通しのよい場所で育てます。ただし、夏場は「葉焼け」による葉色の変色と土の乾燥を避けるために、半日陰になる場所に移動させて育てましょう。
水やりと肥料
地植えしている場合、基本的に水は与える必要はありません。鉢植えの場合、夏場は土の表面が乾燥してきたら水を与えます。夏場の場合1日2回(朝と夕方)、冬場の場合は3日に1回水を与えれば大丈夫です。
地植え・鉢植えどちらの場合も、2月ごろに堆肥や油かすなどの有機質肥料を与えます。また鉢植えで大きく育てたい場合は、4月~5月ごろに緩効性肥料(固形)を与えるようにしましょう。
緩効性肥料はゆっくり効果が出てくる肥料のため、この時期に与えることで生長期の夏効果が現れるでしょう。真夏の場合は、生長スピードが遅いなと感じたときに液体肥料で補うとよいです。
ただし、肥料を与え過ぎると、ヤマモミジがうまく紅葉しないおそれがあります。肥料の与え過ぎに気を付けながら、ヤマモミジを育てましょう。
植え替え・植え付け
庭などに植え付ける方法と、鉢植えの植え替えについてご紹介します。植え付けも植え替えも、紅葉を終え葉が落ちた11月~3月におこないましょう。
◆地植え
庭に植え付けする場合は、まず以下ものを準備しましょう。
【準備するもの】
- スコップ
- 有機物(堆肥や腐葉土など)
- 手袋
必要なものが準備できたら、以下の手順で植え付けていきましょう。
【手順】
- 植える場所に苗の根部分よりも2倍ほど大きめの穴を掘る
- 掘り出した土に堆肥や腐葉土などを混ぜ込んでおく
- 土を3分の1ほど穴に戻し、その上にヤマモミジの苗を置く
- 残りの土を穴に入れる
- 苗の周りに土を山高く盛り、苗を囲うようにすり鉢状にする
- 盛った土の中に水がたまるまで、たっぷりと水をやる
- たまった水が引いたら、またたまるまで水をやる
- 7を数回繰り返す
- 木が倒れないよう、支柱を立てる
地植えの水やりは、根が定着し育ち始めるまでおこないます。うまく根が定着してしっかり育ってきたら水やりをおこなう必要はありません。
◆鉢植え
鉢植えした場合、根詰まりを起こさないようにするため、2年~3年に1回ほど植え替えをおこないます。まずは、以下のものを準備しましょう。
【準備するもの】
- 植え替え用の鉢(ひと回り大きいもの)
- 鉢底ネット
- 鉢底石
- 手袋
- ハサミ
- 園芸培養土(または小粒の赤玉土)
【手順】
- 準備した鉢の底に鉢底ネット→鉢底石の順番で敷く
- ヤマモミジを古い鉢からそっと引き抜いて、根の表面に付いている土を落とす
- 根が茶色や黒色になっている場合は腐っているため取り除く(白い根は健康であるため切らない)
- 新しい鉢にヤマモミジを植えて隙間なく土を詰めていき、その後、鉢ごと地面に軽く叩き付けて土を整える
- 鉢底から水が流れるくらい水をたっぷり与える
病害虫
ヤマモミジを育てる際は、以下の病害虫に注意しましょう。被害や対処法などご紹介していますので、参考にしてください。
〇うどんこ病
うどんこ病が発症すると、葉全体に白いカビが生えたような症状が出ます。そのままにしていると、光合成をおこなうことができなくなり枯れてしまいます。
・対処法
うどんこ病の被害が軽い場合は、重曹や酢でスプレーを作り散布することで自然治癒できます。作り方は、重曹1gに500mlの水を加えて完成です。また酢の場合は、酢1 gに350mlの水を加えるだけで作れます。
うどんこ病が進行してしまった場合は、農薬や殺菌剤を散布する方法もあります。ただし、薬剤を扱う場合は使用方法を守らないと植物を枯らす可能性があるため、必ずパッケージなどに記載されている使用上の注意を確認してから使用しましょう。
対処をしてもうどんこ病が治らない場合は、発症している部分を取り除きます。被害を拡大させないため、早めに処理することが大切です。
〇カイガラムシ
カイガラムシは体長1mm~10mmほどの大きさをしており、木の枝などに寄生する虫です。カイガラムシが植物に寄生すると、栄養分を取られてしまいます。その後、カイガラムシが排泄物を出すと、葉などが黒ずんでしまう「すす病」や、薬を塗り付けたように厚めのカビがべったりと生える「こうやく病」の発生につながります。
・対処法
カイガラムシを卵の段階で発見した場合は、ティッシュでふき取るだけで簡単に駆除することが可能です。また幼虫の場合は、殺虫剤を散布することで駆除できます。成虫になってから発見した場合は、硬い殻に覆われているため殺虫剤では効果があまりありません。
ですので、歯ブラシやヘラで擦り落としたり、可能であれば剪定したりして駆除しましょう。その後、カイガラムシが付かないよう薬剤を散布しておくと予防になります。
※1 対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積りに費用をいただく場合がございます。※2 手数料がかかる場合がございます。一部加盟店・エリアによりカードが使えない場合がございます。
モミジとカエデの違いを知っておこう
ここまでヤマモミジについてご説明してきましたが、苗を購入する際「モミジ」なのか「カエデ」なのかどちらかわからないという方もいらっしゃることでしょう。ここでご紹介する「モミジ」と「カエデ」の違いを参考にしていただき、購入する際にお役立てください。
植物分類上、モミジはなくカエデしかありません。モミジはカエデ属に分類されている品種の名前なのです。カエデ属の中でも、とくに葉の形がきれいなものは「モミジ」と呼ばれています。代表的なモミジは以下のものです。
- イロハモミジ
- ヤマモミジ
- オオモミジ
またモミジとカエデは葉の切れ込みの深さによってもカエデかモミジかに区別されます。切れ込みが浅く、カエルの手のような形をしているものを「カエデ」、切り込みが深く赤ちゃんの手のような形をしているものを「モミジ」と区別されています。
どちらもきれいに紅葉するので、実際に育てて秋に色づいた葉を楽しめることでしょう。もし栽培方法や手入れで困ったことがあったら、業者に相談すると上手く育てる方法を教えてもらうことができるでしょう。
相談する業者を選ぶ際には、ぜひ弊社にお問合わせください。弊社にご連絡いただければ、全国にある加盟店の中からお客様のご要望に沿った業者をご紹介することができます。お気軽にご利用ください。