「雑草に熱湯をかけると、枯れるって聞いたけど本当?」
雑草に熱湯をかけるだけで除草ができるなんて、簡単すぎて信じられませんよね。
じつはこの噂は本当で、雑草に熱湯をかけると枯れます。
なぜなら植物の細胞は高温になると細胞死してしまうためです。
参考:一般社団法人日本植物生理学会|細胞が崩壊する温度(最終閲覧日:2023年8月31日)
実際に「雑草に熱湯をかけると1ヵ月間草が枯れたままだった」という実証実験の結果も出ています。
さらに熱湯による除草は薬剤不要なうえ、除草剤の約100分の1の費用で除草できるなど、メリットも多い除草方法です。
そこでこの記事では、熱湯による除草の効果や効果的な熱湯のかけ方を下記の流れでじっくり解説します。
- 熱湯除草の効果、メリット
- 熱湯除草の正しい手順と注意点
- 熱湯除草、他6つの除草方法の価格比較
雑草に熱湯をかける除草方法はとても簡単で効果的なため、ぜひ気軽にチャレンジしてみてください。
熱湯をかける除草方法は効果あり!
はじめにお伝えしたとおり、植物は高温で植物細胞が死んでしまうため熱湯をかける除草方法は効果があるといえます。
高圧洗浄機メーカーのケルヒャーがおこなった実証実験によると「業務用温水高圧洗浄機を使い、約100℃の熱湯を雑草にかけたところ1ヵ月経っても草が枯れたままだった」そうです。
参考:ケルヒャージャパン|お湯だけを使用して環境にやさしい低コストな温水除草のご紹介(最終閲覧日:2023年8月31日)
実験では業務用の大きな高圧洗浄機を使い、広範囲を除草していました。
家庭で熱湯による除草を試す場合は、やかんや鍋で沸騰させた熱湯を使いましょう。
大量のお湯が沸かせないため広い範囲の除草はできませんが、実験と同じ効果が期待できます。
また、熱湯をかける除草方法には次のメリットがあります。
- 公共物の雑草対策として有効
- 同量の除草剤の100分の1の費用で除草可能
- 根元までしっかり除草できる
デメリットは、設備的にご家庭では広範囲を除草するのは難しいという点くらいでしょう。
それでは詳しく解説します。
公共物の雑草対策として有効
熱湯で除草をおこなう方法は、道路や公園の除草対策として有効といえます。
なぜなら熱湯による除草は薬剤を使わずに草を枯らせるためです。
多くの人が利用する道路や公園などの公共施設に薬剤を撒くのは、健康被害の危険性があります。
そのため薬剤が気になる道路や公園の除草方法として注目され、先ほどご紹介した実証実験がおこなわれました。
手刈りによる除草では1ヵ月後には雑草が生い茂っていましたが、熱湯による除草では1ヵ月経っても雑草は枯れたままでした。
そのため、公共物のような薬剤が気になる場所での除草に熱湯は有効といえますね。
同量の除草剤の約100分の1の費用で除草可能
熱湯による除草は、お金がかからない点も大きなメリットです。
実際に同じ量の熱湯と除草剤の価格を比較したところ、熱湯は除草剤の約100分の1の価格でした。
細かくお伝えすると、1Lのお湯を用意するのには約3.5円かかるのに対し、1Lの除草剤価格は安いものでも約336円でした。
今回は1Lの熱湯を沸かす費用と、1Lの除草剤を購入した際の価格を比較しました。
種類 | 熱湯 | 除草剤 |
---|---|---|
ガス・電気ケトル平均 | 約3.3円 | – |
水道代 | 約0.2円 | – |
販売価格(税込) | – | 約336円 |
合計 | 約3.5円 | 約336円 |
参考:ティファール|電気ケトル早くて安全、経済的!
仙台市水道局|水道水の値段は1Lでどのくらい?(最終閲覧日:2023年8月31日)
「熱湯による除草と6つの除草方法の比較」の章をから算出
数百円の除草剤も安いとはいえますが、お湯と比べればコストがかかるということになります。
根までしっかり除草できる
雑草に熱湯をかけると、根までしっかりと除草ができます。
草を刈り取るだけだと、地中に残った根っこから雑草が再生する場合があります。
何度草を刈ってもすぐに草が生えてきて、うんざりした経験もあるのではないでしょうか。
しかし雑草に熱湯をかけると、熱湯が地中に染みこみ根っこまで枯らせます。
ここまで、熱湯による除草がいかに効果的か、解説をしました。
ではいよいよ自分で熱湯による除草をする具体的な手順を解説します。
雑草を枯死させるためのお湯の温度・時間・注意点解説
熱湯による除草は、お湯を沸かして雑草にかければ完了です。
ただし以下のように温度や時間に、ちょっとだけコツが必要です。
- 沸騰した約100℃のお湯を用意する(ぬるいと効果が出ない可能性があるため注意)
- 1mあたり30秒ほど、根元にかける
- 背の低い雑草は全体にかける
参考:日本ロード・メンテナンス|苦渋作業を低減!高温水道路除草システム(ロングver)(最終閲覧日:2023年8月31日)
まずは沸騰するまでやかんに火をかければ、準備完了です。
あとは雑草の根元にゆっくりと熱湯を注げば、除草ができます。
ポイントは雑草の根元にゆっくりと熱湯をかけることです。
1mを30秒かけて移動する感覚で前に進み、雑草に熱湯をかけます。
30〜60代の平均的な歩幅は、男性約70cm、女性約60cmといわれています。
1歩半〜2歩を30秒かけて移動するイメージで、お湯をかけてみましょう。
ただし、やかんでお湯を沸かす方法は大量のお湯を沸かすのが大変なため、小規模の除草がメインです。
ブロックの間に生えた雑草など、ちょっと取りにくい雑草の除草などにおすすめです。
最後に安全面の注意点として、お湯はねや熱したやかんによるやけどにはくれぐれも注意してくださいね。
※1 対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積りに費用をいただく場合がございます。※2 手数料がかかる場合がございます。一部加盟店・エリアによりカードが使えない場合がございます。
雑草にかけるなら湯せんのお湯!パスタのゆで汁は避けよう
先の章では熱湯のかけ方を解説しました。
お湯を沸かして除草しますが、余った熱湯を活用したほうが経済的です。
そこでレトルト食品を温めるときに使った湯せんのお湯など、余った熱湯を使いましょう。
塩が入っていなければゆで卵のお湯や、量が十分あるなら電気ポットの残り湯でもOKです。
ただし、塩の入ったパスタや野菜のゆで汁はおすすめできません。
なぜなら、パスタや野菜のゆで汁には塩分が含まれていることが多いためです。
塩分を含むお湯をこぼすなどして、住宅施設の金属部にかかってしまうとさびの原因になる可能性があります。
また、塩による除草はご近所トラブルを避けるためにも控えたほうが無難です。
熱湯による除草の解説は以上です。
しかし「やかんより大量の熱湯で、広範囲の除草をおこないたい!」という方もいますよね。
じつは熱湯による除草方法を家庭で試す場合、広範囲は手間がかかるためおすすめできません……。
理由を次の章で解説します。
家庭用スチームクリーナーによる広範囲の除草はむずかしい
ここまでの章で「熱湯による除草は約100℃のお湯をかければ可能」とお伝えしました。
そこで今度は「家庭用スチームクリーナーが使えるか?」を見ていきましょう。
結論からいうと家庭用スチームクリーナーでの除草はむずかしいため、おすすめができません。
スチームクリーナーとは、約100℃近い蒸気で汚れを落とす掃除器具です。
電源が必要ですが、延長コードを使えば屋外でも作業が可能です。
スチームクリーナーは屋外でお湯を沸かすことができ、約100℃の蒸気を1時間ほど噴射できるため、広範囲の除草に向いているように見えます。
しかしなぜ家庭用スチームクリーナーで除草がむずかしいのか?
理由は以下のとおりです。
- 蒸気では根っこまで届かないため、効果が薄い
- 業務用スチームクリーナーを使った除草方法はあるが150℃近いスチームを使用する。家庭用では100℃ほどで温度が足りない
- 家庭用は草がしおれるまでかけ続け、数分~数十分ほどかかり効率が悪い
- 家庭用は当て方、蒸気の温度などコツが必要で失敗する可能性が高い
参考:ケルヒャー公式|除草剤を使わないエコな雑草対策には温水除草がおすすめ
株式会社ビーケー通商|熱湯除草!!木みたいに幹がでてきた雑草を枯らしてみました!150℃のスチームで施工直後から5か月後まで観察!!雑草はどこまで枯れるのか!??
(最終閲覧日:2023年8月31日)
熱湯による除草は熱湯が根まで浸透するため効果がある、とお伝えしました。
しかし蒸気は地中にまで熱が伝わらず、効果が薄れます。
また蒸気を使う場合、草がしおれるまで蒸気をかけ続けなくてはなりませんが、これには数分~数十分かかります。
家庭用スチームクリーナーでも時間をかけてじっくりおこなえば、除草はできるでしょう。
しかし時間がかかり、失敗する可能性が高いためおすすめできません。
ちなみに家庭用高圧洗浄機のなかには温水を使用できるものもありますが、こちらもおすすめできません。
高圧洗浄機とは強い力で水を発射させて、汚れをはがす掃除器具です。
家庭用の高圧洗浄機でお湯を使う場合、あらかじめ50~60℃のお湯を用意して、それを高圧洗浄機で吸い込み掃除をおこなうためお湯を沸かす手間は変わりません。
また業務用のスチームクリーナーと業務用の温水対応の高圧洗浄機は、安くても数十万円ほどで除草のためだけに購入できる金額ではないでしょう※。
※調査日2023年6月23日 楽天市場にて「業務用スチームクリーナー、業務用温水高圧洗浄機」と検索した送料込・税込価格を参考
お庭など広範囲の除草は、除草剤や防草シートを検討しましょう。
熱湯による除草と6つの除草方法の比較
ここまでは熱湯による除草を見てきました。
ここで、熱湯による除草と他の除草方法の費用を比べてみましょう。
今回は熱湯の他、家庭にある3つのものと除草剤などの一般的な除草方法3つを比較してみましょう。
除草方法 | 必要な費用(税込) |
---|---|
熱湯 | 3.5円 |
塩 | 0.4円 |
重曹 | 0.9円 |
お酢 | 311円 |
除草剤 | 336円 |
防草シート(1㎡) | 560円 |
草刈り機 | 3,930円 |
※熱湯、塩、重曹、お酢、除草剤は1L分の費用
調査日:2023年6月13日 詳細は熱湯による除草と6つの除草方法の比較(PDFファイル)に記載
インターネット通販サイト楽天市場で売られている、販売最安値価格を調べました。
安さを追求するなら、0.4円の塩がもっとも安いですね。
ただし塩による除草は塩害を引き起こすため、おすすめはできません……。
安全性を考えると約1円の重曹がおすすめです。
重曹は土のpH値を整えるときに使用するため、万が一流れ出しても比較的安全だからです。
ですが庭のような広い場所で、熱湯や重曹をまくのは手間がかかります。
施工の手間を考えると、除草剤や防草シートがよいでしょう。
除草剤はわずかな量で長期間除草でき、防草シートは一度張ってしまえばあとは管理が楽だからです。
下記の除草対策の記事には、様々な除草方法をまとめています。
気になる方は関連記事をご確認ください。
また「防草シートが気になるけど、なにから始めてよいかわからない」とお庭の草刈りでお悩みなら、お庭110番にご連絡ください。
お庭110番は草刈り業者を紹介するサービスをおこなっています。
ご連絡いただければあなたの希望する場所、日時にあった草刈り業者をご提案いたします。
お庭の草刈りでお悩みならぜひ一度、お庭110番にお電話ください。
※1 対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積りに費用をいただく場合がございます。※2 手数料がかかる場合がございます。一部加盟店・エリアによりカードが使えない場合がございます。
雑草と熱湯に関するよくある質問
最後にここまでの解説で説明しきれなかった、雑草と熱湯に関する情報を質問形式でご紹介します。
- 温度が低くても除草はできますか?
-
確実に除草をするなら、できるだけ100℃に近いお湯を使うのが無難です。
じつは約50℃のお湯を植物にかけると、かえって植物が元気になる可能性があります。
茨城大学農学部は「植物(農作物)に50℃のお湯をかけると、植物の免疫力が増して病気に強くなった」という研究結果を発表しています。
理由は「植物に50℃のお湯をかけると軽いやけどの状態になるが、植物が身を守るために免疫力を高めてより強い植物になろうとするため」だからだそうです。
雑草も植物のため、枯れるどころか元気になる可能性があります。ただしすべての植物が同じように元気になるかはわかっていません。
また「42℃以上の熱湯を定期的にかければ、雑草が枯れた」という話もあり、雑草と温度の関係は意外に複雑です。中途半端な温度では枯れない可能性があるため、除草が目的なら必ず100℃の熱湯を用意しましょう。
参考:茨城大学 教授 佐藤 達雄 先生 夢ナビTAL|熱いシャワーで植物も目を覚ます!
沖縄タイムス|「1日で10センチも伸びる雑草」除去にお湯が効くのはなぜ? ドイツの企業と町が実験
(最終閲覧日:2023年8月31日) - コケに熱湯をかけても効果はありますか?
-
コケに熱湯をかけても枯れます。
原理は雑草に熱湯をかけると枯れる仕組みと同じです。
コケに熱湯をかけると、緑色から茶色に変化して枯れます。ただし枯れたコケは残るため、ブラシでこすってキレイにしましょう。
- 熱湯による除草は雑草の種にも効果がありますか?
-
植物の種類によりますが、効果のある雑草の種もあります。
いくつかの雑草の種に熱湯をかける実験をおこなったところ、メヒシバ、スズメカタビラなどにはある程度の効果があったようです。
しかしスベリヒユ、カヤツリグサの雑草には効果がなかったそうです。また雑草の種に100℃の蒸気を当てた実験によると「地表面に落ちているイネ科の種には効果があったが、地下に栄養を貯蔵する根塊をもつオモダカ科などの植物には効果がなかった」との結果もあります。
このように熱湯による植物の種の除草は、植物の種類によります。
参考:竹川昌宏・大塩哲視・小松正紀|草種子の熱による死滅と熱水土壌消毒の抑草効果
農研機構|2.蒸気処理(最終閲覧日:2023年8月31日)
まとめ
この記事の結論をもう一度お伝えしておくと、雑草に熱湯をかけると除草できるということになります。
熱湯をかける除草方法は、公園や道路の公共物での新たな除草方法として注目されています。
熱湯を準備する費用は1Lあたり約3.5円程度、同量の除草剤の約100分の1の値段で除草できるものうれしいポイントです。
雑草に熱湯をかけるだけで、除草ができるため特別な手間や道具もいらず簡単です。
ポイントは2つ。
沸騰した熱湯を用意して、30秒かけてゆっくりとかけましょう。
ただし50℃ほどのお湯だと効果が出ないおそれがあるため、必ず約100℃の熱湯を用意しましょう。
雑草は根を残すと再生するものが多いため、根に熱湯を注ぐイメージで雑草の根元にじっくりかけてください。
ですが熱湯による除草は、ブロックの目地など小規模の除草に限ります。
熱湯は安い除草方法ですが、お湯を沸かす手間がかかるからです。
庭のように広範囲の除草なら、除草剤や防草シートのほうが値段は高くなりますが手間はかかりません。
除草をおこなう範囲を見極めて、ご自宅にあった除草方法を選びましょう。