剪定鋏の手入れはただこすればいいというわけではなく、鋏の正しい部分を正しい方法で研ぐことが大切です。なぜなら、間違った剪定鋏の研ぎ方をしてしまうと切れ味が戻らないばかりか、かえって逆効果になることもあるからです。
このコラムでは正しい剪定鋏の研ぎ方やお手入れ方法をご紹介していきます。ぜひ今おもちの剪定鋏を長持ちさせましょう。
剪定鋏を正しく研ぐ3つの方法
ここでは剪定鋏を研ぐ方法を難易度別に3つご紹介していきます。たとえば、新品で1、2回使用しただけのものなら簡単編、汚れがたくさんついているようなら基本編、刃こぼれしているくらいであれば応用編の方法がよいでしょう。それぞれの方法は次の通りです。
基本編(分解しないで研ぐ方法)
剪定鋏を分解しないで研ぐ場合、次のものをホームセンターやネット通販で調達しておきましょう。
【準備するもの】
- 刃物用ヤニ取りクリーナー
- いらないタオルなど乾いた布
- 中砥石(800番~1000番)
- 水
- サンドペーパー(2000番以上)
- 椿油、ミシン油など錆止め油
砥石は「荒砥石」「中砥石」「仕上砥石」といった種類があり、番号が大きくなるほど目が細かくなります。剪定鋏を研ぐときには、一般的な包丁に使うのと同じ800番~1000番の中砥石を選びましょう。
サンドペーパーも同様に、数字が大きいほど細かくなっています。砥石で研いだ鋏の仕上げに使いますので、2000番以上の目の細かいものを用意しましょう。
研ぎ方は以下の通りです。
- 刃の汚れをヤニ取りクリーナーと布で拭き取っておく。
- 鋏をしっかり開き固定する。
- ハマグリ刃(大きいほうの刃)の表面(斜めになっている面)を砥石に当て、水をかける。
- 刃と砥石との角度が20度~25度くらいになるように刃を持ち上げる。
- グリップのほうに向かって刃先を何度か滑らせる。
- 紙ヤスリで刃先から刃の真ん中あたりまで力をあまり入れずに磨く。
- 裏面(平らになっている面)は15度~20度くらいにして表面と同じように砥石の上を滑らせる。
- カマ刃(小さいほうの刃)は表面(ハマグリはと接しない面)のみ紙ヤスリで軽く汚れを落とす程度で磨く。(ハマグリ刃と接する面は歪みが出るので研がない)
- 錆止め油をつけて布で軽く拭き取って完了。
応用編(分解して研ぐ方法)
剪定鋏を分解して研ぐ場合、次のものをホームセンターやネット通販で調達しておきましょう。また、分解する前に写真を撮っておくと戻すときにわかりやすくてよいです。
【準備するもの】
- 刃物用ヤニ取りクリーナー
- いらないタオルなどの乾いた布
- 六角レンチやスパナ
- 600番と1000番の砥石(なければ1000番だけでもよい)
- 椿油、ミシン用油などの錆止め油
- 水
- 耐水ペーパー(1000番)
六角レンチやスパナは鋏の刃と刃を留めているネジを外すときに使います。お手持ちの剪定鋏に合うものを確認しましょう。
剪定鋏を分解して研ぐ方法は以下の通りです。
- 刃の汚れをヤニ取りクリーナーと布で拭き取っておく。
- 六角レンチやスパナなどで2枚の刃が留めてあるネジをゆるめる。
- グリップ部分のバネを外す。
- ハマグリ刃(大きいほうの刃)を600番(または1000番)の砥石に表面(斜めになっている面)を当てて置き、水をかける。
- 砥石と刃の間の角度を20度~25度くらいなるように刃を立てて前後に動かす。
- 裏面(平らになっている面)に少し反り返りのようなものができるので、その反り返りを取るように裏面も20度の角度で前後に動かして研ぐ。
- 1000番の砥石でも15度~20度で、同様に両面を研ぐ。
- 水をつけた耐水ペーパーでカマ刃(小さな刃)の表面のみ、軽く汚れを落とす程度で磨く。
(裏面は歪みが出るので研がない) - 分解した刃を元に戻す。
- 錆止め油をつけて布で軽く拭き取って完了。
簡単編
剪定鋏をもっと手軽に研ぎたいという場合は耐水ペーパーで磨くという方法で切れ味をよくできます。用意するものは耐水ペーパー(1000番)と水、椿油やミシン用油などの錆止め油です。
耐水ペーパーはホームセンターやネットストアなどで簡単に手に入ります。手順は以下の通りです。
- 耐水ペーパーを手の大きさくらいの四角形に切っておく。
- 耐水ペーパーと剪定鋏を水でぬらす。
- 耐水ペーパーをハマグリ刃(大きいほうの刃)に平行にあて、小さく動かして磨く。
- カマ刃(小さいほうの刃)は表面のみ、刃の形に合わせてあまり力を入れずにやさしく磨く。(裏面は歪みが出るので研がない)
- 錆止め用の油をつけて布で軽く拭き取って完了。
※1 対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積りに費用をいただく場合がございます。※2 手数料がかかる場合がございます。一部加盟店・エリアによりカードが使えない場合がございます。
剪定鋏を長もちさせるお手入れ方法
剪定鋏を長持ちさせるには、汚れたまま放置しないことが大切です。剪定鋏を使用したら、刃についたヤニや泥などをすぐに水で洗っておきましょう。また、洗ったあとは、油で拭いておくとサビ予防ができるのでよいです。剪定鋏を長く使うための、基本のお手入れ方法をご紹介します。
お手入れに必要なもの
切れ味のよい剪定鋏を維持するためにあるとよいものは次のものです。
- 乾いた布やタオル
- 錆止め油
- ヤニ取りクリーナーや刃物用クリーナー
消毒しておこう
剪定鋏にはウイルスがついていることもよくあり、ウイルスがついたままの鋏を使用すると、育てている植物を病気にさせてしまうおそれがあります。それを防止するためにも、使用前には熱湯消毒やアルコール除菌で消毒しておきましょう。
熱湯消毒は、剪定鋏を水洗いして汚れをとったら、熱湯を刃にかけます。やけどに注意しておこないましょう。
アルコール消毒は刃に消毒液をスプレーしたり、剪定鋏を消毒液に浸けておいたりするなどしておこないます。ただ、アルコール消毒では効き目のないウイルスもあるので、熱湯消毒とあわせておこなうのがよいでしょう。
また、火であぶるという方法を思いつく方もいらっしゃるかもしれません。しかし、火であぶる方法は刃を傷めるおそれがあるのです。刃を傷めてしまっては、剪定鋏を長持ちさせるということから考えて逆効果となりますのでやめましょう。
時間がたった汚れをおとす方法
水ではもう落とすことができなくなった汚れがある場合は、歯ブラシとお湯でまずは試してみましょう。80度くらいのお湯に鋏を浸けておき、歯ブラシで擦るというものです。それでも汚れが取れなければ、ヤニ取りクリーナーや刃物用のクリーナーで拭き取ってみましょう。
これらの方法で落ちないようなガンコな汚れやサビの場合は、機械研磨を使うのがよいです。機械研磨は砥石が自動で回転する特殊な機械を使って刃を磨く方法です。手作業では取れない汚れや刃こぼれがある刃物も、機械研磨ならピカピカに仕上げることができます。機械研磨は自分では難しいので、業者へ依頼しましょう。
難しいと感じたら、プロへ相談してみよう
プロに相談することによって刃を傷めるリスクがなくなります。業者であればそれぞれの鋏の状態をみて的確な修理やケアができるからです。自分で研ぐよりもプロにお願いすることで確実に切れ味が戻るでしょう。
業者へ依頼したときの費用
剪定鋏のメンテナンスを業者に依頼したときの費用は、700円~2,000円ほどです。それほど高価ではありませんが、剪定をするたびに業者に依頼するとなると軽視できない金額になります。
もしも普段の剪定バサミのメンテナンスが億劫に感じているなら、剪定自体を業者に依頼してみてはいかかでしょうか。剪定を業者に依頼すれば、剪定鋏のメンテナンスは不要ですし、剪定に使ういろいろな道具もいりません。
剪定を業者に頼んだ場合の費用は木の大きさにもよりますが、3メートル程度の庭木であれば1本あたり3,000円程度です。自分で剪定をする場合に比べれば当然費用がかかりますが、業者の場合は剪定だけでなく、後片付けなどもしてくれます。素人がするよりも作業が早いですし、仕上がりもきれいになるでしょう。
もし剪定業者をお探しなら、弊社にご相談ください。弊社では、剪定業者をお探しするサービスをおこなっております。木の種類や仕上がりのご希望などを聞かせていただけば、対応可能なお近くの弊社加盟店をすぐにご紹介します。24時間365日お電話、メールにてご相談を受け付けておりますので、お気軽にご利用ください。