イヌツゲは気候を問わずに育てることができる比較的丈夫な樹木であるため、庭木や生垣として用いられています。しかし成長が早いため、剪定はきちんとおこなうことが大切です。イヌツゲの剪定は、梅雨前と秋ごろの年に2回おこないましょう。
春ごろは成長期に枝が伸びすぎるのを迎えることと、害虫対策のためにおこないます。また、秋ごろにおこなうのは翌年に向けて樹形を整えていくためです。
この記事では、そんなイヌツゲの剪定方法やどんな仕立て方があるかについてお伝えしていきます。魅力的なイヌツゲを育てるために、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
イヌツゲの最適な剪定時期
イヌツゲの剪定に最適な時期は、前述のとおり年に2回あります。まずは、それぞれの時期におこなうことからお伝えしていきます。
5月下旬~梅雨明けごろ
イヌツゲは暖かくなる3月ごろから、夏の終わりごろまで枝葉を伸ばし続けます。夏に入る前に一度伸びた枝を整えるために剪定をおこなうのです。とくに夏は害虫が発生しやすくなるため、重なって混み合いやすい枝葉を切っておくとよいでしょう。
9月下旬から11月ごろ
夏を過ぎると、イヌツゲの成長は落ち着いてきます。冬になると休眠期に入るため、遅くても11月の上旬ごろまでに、もう一度剪定をおこないましょう。この時期に剪定をおこなっておけば、冬から翌年まで樹形が整った状態を保つことができるのです。
しかしイヌツゲは枝葉が混みやすいため、冬を除いた上記以外の時期でも樹形の乱れが気になる場合は、随時剪定をおこなっても構いません。
庭木・生垣│イヌツゲの仕立て方や剪定方法
イヌツゲは、その丈夫さから自由に樹形を仕立てられるのが大きな特徴です。続いては、仕立て方や剪定方法をご紹介します。まずは、イヌツゲの代表的な仕立て方をいくつかご紹介します。
・生垣(角仕立て)
住宅の庭に植物の生垣を用いるご家庭は、今でも少なくありません。イヌツゲを生垣にする場合は、高さの調整をこまめにおこなって伸びてきた枝を刈り込むことで樹形を保つことができます。
・球形仕立て(玉仕立て)
樹形全体に丸みをもたせて仕立てる方法です。地植えはもちろんのこと、鉢植えでもシンプルでかわいらしい印象を与えてくれます。和洋どちらの庭にも合うため、仕立て方に迷ったらおすすめです。
・玉散らし仕立て
昔から和風住宅の庭木として人気の仕立て方です。枝ごとに小さな球形を仕立てていきます。玉散らし仕立ては下のほうの球形は大きく、上にいくほど小さく仕立てていくのが見栄えがよくなるポイントです。
・トピアリー
特定のモチーフをあしらった仕立て方です。前述の球形や玉散らしも、トピアリーの一種といえます。とくに動物などを模したトピアリーは、テーマーパークや洋風庭園などで見かけることがあるでしょう。和洋どちらの庭でも、オブジェとして楽しむことができます。
このようにさまざまなモチーフに樹形を仕立てるには、刈り込みをおこないます。続いては、剪定の基本的な方法を見ていきましょう。
刈り込み
刈り込みは刈り込みばさみを使って表面の枝葉を切りそろえ、樹形を整えていく方法です。イヌツゲを刈り込む際は、あらかじめどんな形にするか決めてからおこないましょう。
もうすでに形ができあがっているなら伸びた枝を優先的に、表面をならすように刈り込んで整えていきます。ある程度の高さで維持したいのなら、強めに刈り込んでも構いません。
透かしや不要な枝の剪定
透かし剪定は、混みあっている部分の枝葉を剪定ばさみを用いて切り落とし、風通しをよくしていく方法です。ほかの枝に絡み合っている枝や、下向きの枝などを優先的に切っていきましょう。
またイヌツゲは、ひこばえ(ヤゴ)と呼ばれる根元から突出している枝が生えてきやすいです。ひこばえは、栄養を吸収しやすく木全体の成長を阻害させるため、できるだけ見つけたら剪定していくようにしましょう。
思ったような形に仕立てるのには技術が必要
イヌツゲは刈り込みに強いため、生垣やトピアリーなど幅広い用途をもった植物です。しかし、見栄えがよくなるように仕立てるには、経験がなければ難しいものです。そのため、ある程度育った段階で業者に仕立ててもらうことで、今後は樹形を維持するだけでよくなります。
「イヌツゲの剪定が難しい……」「思い通りの形に仕立てられない」などで困ったら剪定業者に依頼することをおすすめします。弊社は、剪定や刈り込みなど庭木のお手入れに対応した業者を紹介しています。見積りから受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
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イヌツゲのお手入れ方法・つきやすい害虫
イヌツゲは成長が早くて枝が混みやすいため、剪定以外にもお手入れは欠かせません。とくに害虫がつきやすいため、対処方法を知っておきましょう。最後は、イヌツゲの育成のポイントやどんな害虫に注意したらよいかについてお伝えしていきます。
日当たり
イヌツゲは、日光を好みます。ある程度なら日陰で育てることできますが、枝が弱ってしまい、最悪の場合枯れてしまいます。そのため、できるだけ日なたで育てるようにしましょう。
水やり
イヌツゲを育てはじめて2年に満たない場合は、土の表面に触れて乾燥していたら水を与えましょう。2年以上経過しているなら、基本的に自然の降雨だけで構いません。しかし、何日も雨が降っていないような状況なら、与えたほうがよいでしょう。
鉢植えで育てている場合も、土が乾いていたらたっぷりと与えます。鉢植えの受け皿の水はきちんと捨てるようにしましょう。
肥料
休眠期である2月ごろに有機肥料を与えましょう。緩効性のものを選べば、徐々に肥料が溶け出して栄養が浸透していきます。さらに鉢植えの場合や初夏に剪定をおこなった場合は、3月ごろにも肥料を追加しておくのがポイントです。根元に施すことで肥料を吸収しやすくできます。
害虫
イヌツゲを育成する際に、発生しやすい害虫についてお伝えしていきます。それぞれの駆除方法も合わせて見ていきましょう。
ハマキムシ
ハマキムシは、名前のとおり植物の葉を丸めてそのなかに潜むという習性があります。葉のなかに、卵を産み付けることで個体数を増やして葉を食害するのです。ハマキムシに食害された葉は、切り取ってゴミとして処分をしましょう。
ハダニ
ハダニはクモの仲間で、糸を使って移動する害虫です。体長が1ミリメートルにも満たないものが多く、目視では確認しづらいといえます。ハダニの特徴は、葉から栄養を吸収することです。葉は変色して、白い斑点のような傷がつきます。
ハダニを見かけたら、ダニ用の殺虫剤を使用しましょう。数が少なければ、テープで貼り付けて駆除するといった方法もあります。
カイガラムシ
カイガラムシは、おもに枝や幹に取り付く害虫です。集団で枝にとまって、木の養分を吸収します。カイガラムシには、綿のような身体をもつものや表面が外殻に覆われているものなどさまざまな種類がいます。
とくに殻をもつ種類は、殺虫剤の効き目はあまりよくありません。そのため、割りばしや歯ブラシなどでこすって落としたうえで駆除しましょう。
いずれの害虫も、葉が混みあっている部分を好むため、剪定をおこなって対策をすることが大切です。
弊社は、剪定はもちろんのこと庭全般のお手入れに対応した業者を紹介しています。「植物は育てたいけど害虫は苦手……」という方もいらっしゃることでしょう。害虫駆除や植え付けなども業者にお任せください。お電話にてご相談を受け付けていますので、ご連絡お待ちしております。