生垣はブロック塀やフェンスなどと比べて自然で見た目も楽しめますが、成長する植物である以上、お手入れは避けられません。
何もせずに放っておくとお隣の家や道まで枝や葉が伸びていって迷惑になってしまうおそれもあり、定期的に剪定してきれいにする必要があります。
そこでこの記事では、剪定が初めての方でも生垣をプロ並みに仕上げる方法や剪定に必要な道具、剪定の時期などについて解説しています。
最後まで読んでいただき、ご自身で生垣の剪定をされる際の参考にしてみてください。
監修者プロフィール
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合同会社ガル事務所/最高経営責任者・ひきこもり支援相談士
生垣の剪定に使用する道具
生垣の木の枝を切る道具
生垣の木の枝を切るのに最低限必要な道具は、剪定バサミと刈り込みバサミの2つです。
用途としては、剪定バサミは生垣の細かい部分を切り、刈り込みバサミは生垣全体の広い範囲を刈り込むものです。
また、刈り込みバサミの代わりに、電気の力で楽に刈り込み作業ができる電動バリカン(ヘッジトリマー)もあります。
それぞれの道具について、使い方や選び方、インターネットで買える商品の例を紹介していきます。
剪定バサミ
剪定バサミは、生垣の木の枝を1本ずつ切るのに使用する道具です。
通常の一気に力を入れて切るものと、ラチェット式の2種類があります。
ラチェット式は、てこの原理を利用して何度かに分けて段階的に枝を切ることで、通常より少ない力で硬くて太い枝を切れます。
力のない方でも作業しやすく疲れにくいため、剪定バサミを購入する際はラチェット式のものをおすすめします。
生垣全体を刈り込んでいく前に刈り込みバサミでは切りにくい太い枝を切っておいたり、刈り込んだあとに混み合っている枝を切ったりします。
受け刃を下にし、切り刃を切り残すほうにすると枝の切り口がきれいに切れます。
また、太い枝はハサミや枝を回しながら切ると楽に切ることができます。
中指の先から手首までの長さと同じくらいの、手のひら大のサイズの剪定バサミが握りやすく使いやすいです。
手の大きさの目安は、女性で約18cm、男性で約20cmです。
インターネットで買えるラチェット式の剪定バサミの一例を紹介します。
サイズ | 全長約20cm |
重量 | 228g |
特徴 | 軽量・丈夫なアルミボディ 錆び、ヤニ、汚れに強いフッ素コート刃 すべりにくく衝撃も吸収する樹脂付きグリップ |
刈り込みバサミ
刈り込みバサミは長めの柄と刃が特徴で、広範囲の枝や葉をまとめて刈り込むのに使用します。
柄や刃が長いほど一気に刈り込めるので効率は上がりますが、その分重くもなり扱いが難しくなります。
刃の反りによって表と裏があり、刃が反っているほうが表です。
両手を動かして切ろうとすると刃先がぶれてしまうため、片手は固定してもう片方の手だけを動かして切っていきます。
刃に反りがあるため、生垣の上面を切るときは裏表を反対に持つときれいに切れます。
刃先近くはやわらかい枝・葉を、刃の付け根近くは太い枝・葉を切るように使い分けると作業効率が上がります。
刈り込みバサミは、ただ持つだけなら軽く感じても剪定作業をしているうちにどんどん重く負担に感じてきます。扱いやすく疲れにくい軽量タイプがおすすめです。
インターネットで買える軽量タイプの刈り込みバサミの一例を紹介します。
サイズ | 20cm×65.5cm×3cm |
重量 | 521g |
特徴 | 軽量アルミ柄 サビにくいステンレス刃 |
電動バリカン(ヘッジトリマー)
刈り込みバサミでは時間と労力がかかりすぎてしまうような広範囲の作業には、電気の力で枝を刈り込む電動バリカン(ヘッジトリマー)がおすすめです。
価格は高くなりますが、剪定作業が格段に楽になります。
電動の分重く取り扱いが難しくなるうえに一気に刈り込むため、切り過ぎや思わぬ怪我には注意しましょう。
刈り込む方向に対して刃を斜めに傾け、体に固定するようにしてゆっくり水平に動かしていきます。
手先だけで振り回すと枝に食い込み思いがけない刈り込み方になるので注意。
曲面を刈り込む場合は目線を近づけ、ゆっくりと曲面に沿って動かすようにして下さい。
電動バリカンには、電源コード式やバッテリー充電式といった種類があります。電源コード式の場合、剪定作業に慣れていない方だとコードを誤って切断してしまったり引っかけてしまったりするおそれがあるため、バッテリー充電式のものをおすすめします。
インターネットで買えるバッテリー充電式の電動バリカンの一例を紹介します。
サイズ | 27.4cm×14cm×9cm |
重量 | 320g |
特徴 | 3.6V充電式のコードレスタイプ 芝生用ブレードと植木用ブレードが付け替えられる 3重安全ロック搭載 |
生垣の剪定作業を補助する道具
木の枝を切る道具以外にも、次のような道具があると生垣の剪定作業が捗ります。
作業をするにあたって、必要に応じて揃えていきましょう。
作業用手袋 | 枝や刃物から手を守る |
脚立 | 高いところの作業に必要 |
熊手 | 切った枝をまとめてかき集められる |
竹箒 | 熊手ではすり抜けてしまう細かい枝や葉を集められる |
剪定の道具について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
ここまでは生垣の剪定に必要な道具について紹介してきました。
次章からはこれらの剪定道具を使って生垣をプロ並みに剪定する方法を説明しますね。
※1 対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積りに費用をいただく場合がございます。※2 手数料がかかる場合がございます。一部加盟店・エリアによりカードが使えない場合がございます。
生垣の剪定方法
生垣を剪定する際、基本は広範囲の枝や葉を切る刈り込み剪定と、枝を一本ずつ切る透かし剪定の2種類の方法でおこないます。
刈り込み剪定 | 刈り込みバサミや電動バリカンを使い、生垣の全体的な形を整える |
透かし剪定 | 剪定バサミで混み合った枝を切り、風通しをよくする |
生垣の剪定の手順としては、太い枝などを切ったあとで刈り込み剪定で全体の形を整え、透かし剪定で細かい部分を調整していきます。
生垣を剪定する方法
具体的に生垣の剪定は下記の流れで進めていきます。
- 太い枝や伸びた枝を剪定バサミで切っておく
- 生垣の側面を下から上に刈り込んでいく
- 生垣の上面を平らに刈り込む
- 混みあった枝をすいて風通しをよくする
1.太い枝や伸びた枝を剪定バサミで切っておく
刈り込みバサミや電動バリカンはあまり太い枝を切るのには向いておらず、無理に切ると刃こぼれしてしまう可能性があります。
そのため、全体を刈り込む前に剪定バサミで太い枝や伸びた枝を切っておきましょう。
上に向かって伸びた成長の早い枝を徒長枝といい、木の養分が集中して他の枝が成長しにくくなったり、1本だけ飛び出して見栄えが悪くなったりする不要な枝です。
伸びて徒長している枝などの高さを下げて切り込みます。
2.生垣の側面を下から上に刈り込んでいく
基本的には側面を先に下から上に刈り込んでいきます。
木の下のほうに生えている枝を下枝、木の上のほうに生えている枝を上枝といいます。
木は上枝のほうが成長しやすく養分が集中し、下枝は比較的成長しにくいです。
下枝は上枝に比べて発芽力も低く、切りすぎると枯れてしまうため注意しましょう。
樹形の状況に合わせ、乱れた樹形や生垣の高さを下げたい場合は、上面を先に刈り込む場合もあります。
剪定ばさみや刈込ばさみを使う場合は短いスパン(間隔)を整形してから次のスパンに移ると均一にしやすいです。
3.上面を平らに刈り込む
生垣の両端に切りたい高さに水糸と呼ばれる糸やロープを張って、水平の目印を作ってから刈り揃えていくときれいに仕上がります。
ツツジやオンコなど枝・葉がやわらかい場合は糸やロープなどを張ると刈り込みやすいです。
電動バリカンを使う場合も高さが均一にしやすいです。
4.混みあった枝をすいて風通しをよくする
枝の混みあっている部分は剪定バサミで適度に枝を切って密度を減らし、風通しをよくしておきましょう。
枝が絡んだ状態だと太陽の光が届かず、病気や害虫が発生するおそれがあります。
木の生育や見栄えをよくするために、剪定で切るべき不要な枝を忌み枝といい、次のような種類があります。
徒長枝:他の枝に比べて成長が早く、突き出すように伸びた枝
並行枝:上下の近い位置に平行に並んで生えている枝
車枝:同じ場所から3本以上の枝が車輪の軸のように出ている枝
からみ枝:他の枝にからまるように近づいている枝
ひこ生え:木の根元から生えてくる枝
忌み枝について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
混みあった状態にあると病害虫発生の温床になりやすいので留意して下さい。
生垣を整然と均一に刈り込み、枝を適度にバランスよくすき込むと葉の色合いがきれいに仕上がります。
ここまでは生垣の剪定方法について説明してきました。
次章では生垣の剪定をいつおこなうか、生垣の剪定に適した時期について説明していきます
生垣の剪定に適した時期
剪定をおこなうにあたって、重要なのは剪定の時期です。
生垣の剪定には、強く刈り込む強剪定と軽く整える軽剪定の2種類があります。
基本的に強剪定は1年に1回、弱剪定は1年に1~2回おこなうのが理想です。
不要な枝を切ったり葉を大幅に減らしたりと、大きく木の形を変える剪定です。
強く刈り込む分木に負担がかかるため、剪定の時期によっては枝や葉を切られたダメージを回復できずそのまま枯れてしまうおそれがあります。
芽を残してこみあった枝や伸びた枝先を切り、日当たりや風通しをよくすることで病気や害虫の繁殖を予防します。
強剪定ほど木に負担はなく剪定後の成長も穏やかで、強風などで枝や木が倒れるのを防ぐ効果もあります。
生垣の樹種ごとの適した剪定時期
生垣の剪定に適した時期は、生垣の木が年中葉をつける常緑樹か、秋に紅葉し冬には葉を落とす落葉樹かによって大まかに異なります。
剪定の際には生垣の樹種を確認し、適した剪定時期に作業をしましょう。
生垣の樹種ごとの適した剪定時期は、次の通りです。
- 常緑樹
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- 強剪定
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3月~4月
- 弱剪定
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9月~11月
- 代表的な木
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トキワマンサク、レッドロビン、プリペットなど
- 落葉樹
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- 強剪定
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12月~3月
- 弱剪定
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9月~11月
- 代表的な木
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ハナミズキ、ドウダンツツジ、ヤマボウシなど
常緑樹、落葉樹ともに弱剪定に適した時期は9月~11月ですが、強剪定に適した時期が異なります。
常緑樹は新芽が出る前の3月~4月が、落葉樹は葉が落ちて休眠している12月~3月が強剪定に適した時期です。
※1 対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積りに費用をいただく場合がございます。※2 手数料がかかる場合がございます。一部加盟店・エリアによりカードが使えない場合がございます。
生垣の剪定を業者に依頼した場合の費用目安
生垣の剪定費用には、1人1日あたり、または1人1時間あたりの料金で費用が決まる日当制(時給制)の他、生垣の木の高さと幅(1mあたり)で決まる単価制があります。
生垣の幅1mあたりの剪定費用目安は、以下のとおりです。
木の高さ | 費用目安(幅1mあたり) |
---|---|
1m以下 | 500円程度 |
1m~2m | 1000円程度 |
2m~3m | 2000円程度 |
当社においては作業時間(1人あたり1h)で換算しています。
また、刈枝・廃木の量によって産廃処分費用が掛かります。
剪定作業費に加え、出張費や切った枝の処分費などもかかるため、正確な費用を出すには業者に見積りを出してもらう必要があります。
複数の業者に相見積りをとったり、切った枝は自分で処分したりすると費用を抑えられます。
まとめ
生垣を自力で剪定する際は、剪定の時期を生垣の樹種に合わせておこなうことが重要です。
剪定に適した時期を確認したら、剪定道具を揃えて生垣の剪定をしてみましょう。
刃物を扱うため、慣れない作業での怪我には十分に注意する必要があります。
やはり自力での剪定は難しそうだと感じた場合は、剪定のプロに作業を依頼しましょう。
剪定の技術と経験をもった業者であれば、お庭の生垣を手早く美しくしてくれます。
剪定業者選びでお困りの際は、お庭110番までお気軽にご相談ください。
24時間365日、いつでも無料でご相談を受け付けています。
全国の加盟店のなかから、お客様のご希望に沿った最適な業者を厳選してご紹介いたします。
商社での切花の輸出入業務の経験を活かし、25歳のときに独立。以来お花と樹木に30年以上関わり続けている。ひきこもり支援相談士としての活動では、お花や樹木に触れることで情緒の安定や老人介護施設での痴ほう療養に貢献する『園芸療法』や、過疎地での独立就農支援のための花卉栽培技術指導に力を入れている。東日本大震災の際にはボランティア活動として花苗栽培と植込みを行うなど、造園業界に新風を吹かせるべく、日夜奮闘中。