ヒメシャラは、控えめに咲く花や紅葉する葉、美しい樹皮などさまざまな魅力のある樹木です。
シンボルツリーとして人気があるのはもちろん、盆栽を楽しむ方もいます。
ヒメシャラの特徴やシンボルツリーにおすすめの理由、美しい姿を観賞し続けるために必要なお手入れ方法などを見ていきましょう。
- ヒメシャラの観賞ポイント
- ヒメシャラの2種類の樹形
- 【ヒメシャラ栽培】詳しい方法と楽しみ方
ヒメシャラは控えめな白い花が魅力的
ヒメシャラはツバキによく似た白い花を咲かせる落葉樹です。
深緑の葉の中に散りばめられるように咲く花は、控えめですがとても魅力があります。
分類 | 落葉性広葉樹 |
原産地 | 日本(関東以西の本州、四国、九州) |
樹高 | 12~15メートル |
葉の特徴 | やや細長い形をしていて、10~11月に紅葉する |
開花時期 | 6~7月 |
花の特徴 | 5枚の花弁を持つ小ぶりの白い花が咲く |
緑の葉と白い花のコントラストが美しいだけでなく、ヒメシャラは樹皮も独特で味があります。
生長していく過程で樹皮が剥がれるのですが、全体の樹皮が一斉に剥がれ落ちるわけではありません。
そのため、常に新しくて美しい樹皮が見られるだけでなく、まだら模様の幹を観賞できます。
シャラの木との違い
ヒメシャラとよく似たシャラの木は、開花時期も花の色もヒメシャラと同じです。
生長はやや早めですが樹高もあまり変わりません。
しかし、シャラの葉や花はヒメシャラよりも大きくて存在感があります。
また、特に違いがわかりやすいのは樹皮です。
ヒメシャラの樹皮が薄く控え目に剥がれるのに対して、シャラの樹皮は広い範囲で大胆に剥がれます。
ヒメシャラもシャラもシンボルツリーにおすすめの樹木ですが、間違えて購入してしまうと庭の雰囲気がガラッと変わってしまうため注意が必要です。
シンボルツリーには株立ちがおすすめ
さまざまな魅力を楽しむことができるヒメシャラですが、購入の際は樹形にも注目してください。
樹木の樹形は、単幹と株立ちの2種類に分類できます。
ヒメシャラは両方の樹形が販売されているため、造りたい庭のイメージに合わせて選択可能です。
単幹:木の根元から先端まで1本の幹で形づけられる樹形
単幹の場合は自生しているヒメシャラにより近い状態です。
シンボルツリーにもなりますが、ヒメシャラだけを目立たせるよりも、他の植物と並べてナチュラルな雰囲気の庭を造るのに向いています。
枝葉の様子がよく見えるため、剪定などで丁寧なお手入れをして樹形の美しさを際立たせましょう。
株立ち:木の根元から複数本の幹が枝分かれして生長する樹形
1株植えるだけでボリュームのある樹木になるため、近年はシンボルツリーに株立ちを植える方が多いです。
ヒメシャラは自然に生長してつくられる樹形を楽しみます。
そのため、複数の幹があっても複雑な剪定をおこなう必要はありません。
ヒメシャラを存在感のある家の顔に仕上げたい場合は株立ちをおすすめします。
なお、シンボルツリーによりおすすめなのは株立ちです。
幹が枝分かれするため、1本1本の幹はそこまで太くなりません。
そのうえ、生長は比較的ゆっくりで、大株にならないよう管理しておけば全体のボリュームはありますが窮屈な感じはしない絶妙なバランスを保てます。
※1 対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積りに費用をいただく場合がございます。※2 手数料がかかる場合がございます。一部加盟店・エリアによりカードが使えない場合がございます。
美しいヒメシャラのお手入れ方法
原産地からもわかるように、ヒメシャラは暖かい土地を好み、寒さにはあまり耐性がありません。
ヒメシャラを元気に美しく育てるために重要なポイントは4つあります。
適切な育て方を知って、ヒメシャラを観賞するだけでなく育てる作業も楽しみましょう。
1.栽培環境を整える
ヒメシャラを植える前にまず必要なのは栽培環境を整えることです。
樹木の生長には土壌が大きく関わります。
ヒメシャラに合わせた土づくりをしましょう。
ヒメシャラは乾燥に弱いため、湿り気のある土壌を好みます。
保水力のある黒土と栄養のある腐葉土やバーク堆肥を混ぜて土壌を整えましょう。
また、ヒメシャラには日当たりと風通しのいい場所も必要です。
周囲に障害物の少ない場所にスペースをあけておきましょう。
ただし、元々多くの木々がある山に自生している樹木のため、直射日光や強い西日には弱いです。
強い日差しが木の根元まで届く場所に植えてしまうと、根が傷んで枯れてしまうおそれがあります。
1日中強い日差しが当たる場所ではなく、夕方には日陰になるような場所を確保しましょう。
2.生長に応じて水と肥料を与える
ヒメシャラは乾燥を嫌う樹木です。
水切れを起こすと葉が垂れ下がり、次第に枯れていきます。
地植えの場合は基本的に降雨だけで問題なく育ちますが、晴れの日が続いて土の表面が乾燥しているときは水やりをしてください。
肥料は、土づくりの時点で腐葉土やバーク堆肥を混ぜて栄養を与えているため、生長してしまえばあまり必要ありません。
人間が薬の用法用量を守るように、植物にも適切な栄養の量があります。
生長したヒメシャラには花後に油かすなどを少し与えて、開花で消耗したパワーを回復させる程度にしておきましょう。
3.適切な剪定
ヒメシャラは自然の樹形を楽しむ樹木です。
頻繁に剪定をおこなう必要はありませんが、枯れ枝や風通しの悪い部分を放置するわけにはいきません。
落葉期の12月または2~3月に弱っている枝や混み合って伸びている枝を切りましょう。
なお、ヒメシャラは萌芽力が弱いため、大胆に太い枝を切ると枯れてしまうおそれがあります。
樹高を抑える剪定がしたい場合は、残すべき枝を見極めることができるプロに剪定をお願いしましょう。
4.病害虫対策
ヒメシャラには注意すべき病気が4つ、害虫が2種類存在します。
ヒメシャラにあらわれる症状と被害に遭ってしまった場合の対処法を覚えておきましょう。
病名 | 症状 | 対処法 |
---|---|---|
さび病 | 葉に白っぽい斑点ができる | 斑点が出た葉を速やかに取り除く |
輪紋葉枯病 | 葉に茶色っぽい斑点ができる | |
白紋羽病 | 見た目にほぼ変化はないが、樹勢が弱くなりいずれ枯れる | 発生したら木を撤去して周囲の土壌を消毒するしかない |
幹心腐病 | 幹や枝に病斑ができて、悪化すると病斑部分がへこんだり腐ったりする | 患部を削り取って、削られた部分に保護用の薬剤をつける |
害虫の名称 | 症状 | 対処法 |
---|---|---|
チャドクガ | 虫は葉を食害し、毒針はアレルギー反応を引き起こす | 発見次第虫と被害に遭った葉を取り除く |
アオドウガネ | 葉を食害する |
病害虫被害は、肥料の与えすぎや肥料の不足、剪定不足で風通しの悪くなった状態のヒメシャラに発生しやすいです。
ご紹介した1~3までのお手入れを適切におこない、病原菌や害虫が寄り付くすきを与えないようにしましょう。
また、白紋羽病以外は被害に遭っても被害箇所を取り除けば育て続けることができますが、被害箇所の周囲に菌や害虫が残っているおそれがあります。
殺虫剤や殺菌剤を使って周囲の消毒をしてからお手入れを再開しましょう。
お庭110番は庭木の消毒やメンテナンスにも対応しています。
お手入れ方法に不安が残る方や、より本格的な病害虫対策をおこないたい方はぜひご相談ください。
※1 対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積りに費用をいただく場合がございます。※2 手数料がかかる場合がございます。一部加盟店・エリアによりカードが使えない場合がございます。
購入できるヒメシャラの種類
ヒメシャラは種がほとんど販売されていないため、苗木や株を購入して植栽するのが一般的です。
苗木と株は値段や大きさだけでなくヒメシャラを育てるうえでの楽しみ方も変わります。
以下のメリット・デメリットを参考にして購入するものを決めましょう。
・苗木
枝葉も少なく樹高も低い状態です。
購入した段階では庭のシンボルらしい存在感はありませんが、自分の手で育てる楽しみがあります。
・株
すでにある程度生長して枝葉にもボリュームがある状態です。
自分で育てて生長を見る楽しみは半減しますが、生い茂る葉や美しい花がたくさんつく様子をより早く観賞できます。
種を採取して増やすのもおすすめ
最初に植えるヒメシャラは苗木や株を購入するのが一般的です。
しかし、ヒメシャラの数を増やす場合は、育てたヒメシャラから種を採取して種をまく方法があります。
ヒメシャラの種は花後にできる実の中にできるのですが、実が熟して種を採取できるのは10月頃です。
種を採取したら湿り気の多い土にまきましょう。
早ければ翌春、遅くとも翌々年の春には芽が出るはずです。
なお、ヒメシャラの種は湿度を保って冷暗所で保管すれば春に種をまくこともできますが、採取してすぐにまくほうが発芽しやすく元気に育ちます。
植えつけや剪定は【お庭110番】にご依頼ください
ヒメシャラを植える際、苗木であれば女性や子供でも比較的簡単に植栽できます。
しかし、株を購入した場合は、樹木の向きや位置などを確認しながらの植栽は難しいです。
植栽にプロの力が必要なときは、お庭110番におまかせください。
また、お庭110番では剪定作業も請け負っています。
育て始めてから剪定に困ることもあるため、いつでも相談できる先があることを覚えておいてください。