桃のような形をしたおいしい実をつけるヤマモモの木ですが、その実を楽しむためには、3月~4月に適切な方法で剪定をおこなうことが大切です。
ヤマモモは、毎年同じくらいの数の実をつける植物ではありません。収穫量を安定させるためには、剪定で実つきを調整する必要があるのです。
本記事では、ヤマモモの特徴とそれにともなう剪定の適期や方法を解説します。あわせて、健康なヤマモモの木を育てるコツや実の楽しみ方についてもご紹介しますので、ぜひご覧ください。
【ヤマモモの剪定】時期と方法
ヤマモモは、樹高15m~20mにもなる日本原産の高木で、関東以南の低地に自生しています。肥料木ともいわれていて、根についている放線菌という菌の働きにより、生長するのに大切な窒素を自分で取り込むことができる樹木です。
通常の植物は空気中の窒素を取り込むことができませんが、放射菌には大気中の窒素を取り込む働きがあります。そのため、ヤマモモは自分で生長に必要な栄養素を取り込むことができ、肥料分の少ない土地でも生長することができるのです。
さらに、病気にもかかりにくく害虫被害の心配も少ないため、育てやすくお手入れしやすい果樹といえます。しかし、あまりにも枝葉が増え過ぎると害虫が寄ってきて住処にされるおそれがあるので、適切な剪定の時期と方法を覚えておきましょう。
実をつけるなら3~4月が適期
ヤマモモは収穫量が安定しない果樹で、実が大量についた年の翌年は実の数が少なくなります。毎年安定して実をつけさせるには、実がつきすぎないように調節してやる必要があるのです。
ヤマモモの実がつく場所は、前年に伸びた小枝と小枝の間で、実がつくタイミングは花が咲いたあとになります。そのため、春に咲いた花を間引くことができる3月~4月が剪定に適した時期なのです。
剪定の準備
ヤマモモの剪定をおこなう際には、枝を切る剪定バサミを用意しなければなりません。対応する枝の太さや自分の手の大きさに合わせて適したものを選びましょう。
また、すでに持っている剪定バサミを使用する場合は、汚れや錆がついていると、切り口から菌が入るおそれがあります。使用前に汚れを落として清潔な状態にしておきましょう。
剪定で切る不要な枝
不要となるのは、弱ってしまった枝やすき間なく密集して伸びている枝です。以下のような枝を中心に切断して、風通しや日当たりをよくしましょう。
- 樹形から飛び出るほど長く伸びた枝
- 枯れた枝
- 地面や幹に向かって伸びる枝
このような枝が少なくなれば、枝葉にすき間ができ、湿気のある日陰を好む害虫がつきにくくなります。病害虫予防のためにも、これからご紹介する方法でしっかりと剪定をおこないましょう。
剪定方法
ヤマモモの剪定は、先述した不要な枝を減らす透かし剪定をおこないます。大量の枝を刈り込む必要はないので、全体のバランスを考えて軽い剪定をしましょう。
流れとしては、まず伸びすぎた枝を切り、そのあと枯れた枝や込み合った枝を切ります。そして、花がつきすぎている場合は、葉5枚あたりに花ひとつを目安にして花芽の数を調節してください。
見た目重視で綺麗に剪定しすぎてしまうと、実がつかなくなる可能性があります。花芽の数やバランスをよく見て落としすぎないよう注意して剪定しましょう。
剪定が難しいと感じたらプロにまかせると安心!
ヤマモモの剪定作業そのものは、特別難しいものではありません。しかし、花芽の残し方や樹形のバランスなどを整えること、管理しやすい状態を維持することは難しいと感じる方もいるでしょう。
そのときは、プロの業者に依頼して理想の樹形にしてもらうのがおすすめです。一般的な依頼から作業完了までの流れは以下のようになっています。参考までに確認しておくとよいでしょう。
【依頼~作業完了までの流れ】
- 電話やメールで相談
- 現地調査
- 見積り
- 作業日の相談
- 作業完了
現地調査では、ヤマモモの植えてある場所やどのくらいの大きさに生長しているのかなどヤマモモの状況を確認します。そのときにどのくらいの高さにしたいのかなどを詳しく伝えておくと、より正確な見積り結果が得られるでしょう。
電話で見積りをとることも可能ですが、その場合の金額は概算となります。正確な金額が出ないこともあるので、注意してください。
そして、見積りの内容に納得したら、作業日を決め、当日業者が来たら作業開始です。支払いのタイミングやカードが使えるかなどは業者によって異なります。気になる方は事前に確認しておきましょう。
剪定にかかる費用相場
庭木の剪定費用は、木の高さで相場が決まっている場合が多いです。まだ樹高が低めで、5m~7mくらいであれば、15,624円ほどで剪定することができます。
しかし、樹木は品種によって上を見ればキリがないほど高く生長するものもあります。そのため、樹高7m以上の樹木は剪定費用の目安を提示している業者がほとんどなく、別途見積りが必要な場合が多いです。
ヤマモモは15mを超える大きさに生長する可能性があります。基本的に現地調査をしたうえで見積りをとらないと、正確な金額はわからない場合が多いでしょう。まず見積り依頼の相談をして、ご自宅のヤマモモの状態を確認してもらうことをおすすめします。
※ご紹介した剪定費用は、剪定業者9社がホームページなどに記載している金額の平均値を算出したものです。
業者選びのポイント!
信頼できる剪定業者を選ぶためには、注目すべき3つのポイントがあります。業者選びに迷ってしまうという方は、以下をよく確認して剪定を依頼しましょう。
・見積りの内容
見積りには、作業費のほかに、移動にかかる出張費や木の処分を依頼する場合は処分費などが記載されます。目的のわからない費用や依頼した覚えのないサービス費用などが含まれていないか、内容をよく確認しましょう。
・見積りや相談が無料かどうか
相談だけで費用がかかることは少ないですが、見積りは有料で対応している業者もあります。費用を少しでも抑えたいという方は、見積りや相談を無料でおこなってくれる業者を探しましょう。
・依頼者に親身になってくれるかどうか
プロの業者であっても、依頼者への対応の仕方はさまざまです。馴染みの業者がいない場合は、剪定依頼の相談をした際に、細かい要望やほかにも悩んでいる点がないかなどを親身になって聞いてくれる業者に依頼することをおすすめします。
業者選びのポイントを確認するだけでも、信頼できる業者を探しやすくはなるでしょう。しかし、業者の数が多すぎて相談先に迷ってしまうという方がいるかもしれません。
そのときは、弊社に一度ご連絡ください。弊社では、電話でご要望をお聞きしたうえで対応に適した業者の紹介をおこないます。相談費用もかかりませんので、お気軽にご相談ください。
※1 対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積りに費用をいただく場合がございます。※2 手数料がかかる場合がございます。一部加盟店・エリアによりカードが使えない場合がございます。
剪定だけじゃない!ヤマモモをおいしく育てるコツ
ヤマモモには雄木(おぎ)と雌木(めぎ)があるのですが、実をつけるのは雌木だけです。ただし、実をつけるためには受粉させる必要があるので、これから育て始める場合は、それぞれ1株ずつ植えましょう。
そして、ここでは庭木としてヤマモモを育てるコツをご紹介します。しっかりと環境を整えて、必要なお手入れをおこないましょう。
適した栽培環境 | 温暖な地域で育つため、日当たりがよく強い風が当たらない場所がよい |
植え付け時期 | 3月~4月 |
水やり | 土が乾ききる前に与える |
肥料 | 実の収穫後である7月と、冬場の1月~3月に与える |
病気 | 枝に小さなこぶができてしまうこぶ病にかかるおそれがある |
害虫 | ミノムシやコガネムシに葉を食害され、実つきが悪くなるおそれがある |
ヤマモモは、基本的には丈夫な植物なので、病害虫被害を過剰に気にする必要はありません。しかし、剪定バサミを使い回して細菌が入ってしまったり、枝葉が増えて湿気が溜まってしまったりすると、病気や害虫にむしばまれる危険性はあります。
剪定だけでなく、日ごろのお手入れもしっかりとおこなって、健康的なヤマモモの木を育てましょう。
おいしいヤマモモの実の楽しみ方
ご紹介したお手入れをすべて丁寧におこなえば、ヤマモモは元気に生長し、おいしい実をつけるでしょう。ヤマモモの実は、生で食べるのもよいですが、加工品にすることもできます。
適切な収穫時期や保存方法、おいしく食べるための調理法をご紹介しますので、以下を参考にして最大限にヤマモモの実を楽しみましょう。
ヤマモモは収穫したらすぐ保存!
ヤマモモの収穫時期は6月半ばから7月です。ヤマモモが熟して真っ赤になったら食べごろなので、ぜひ旬の時期を逃さないように収穫してください。
なお、ヤマモモは花が咲き終わった5月ごろ、未熟な実は自然と木から落ちるので、摘果(実の間引き)の必要はありません。ついた実は熟すまで待っておいしくいただきましょう。
そして、収穫したヤマモモはもちろん、購入したヤマモモも傷みやすいので、手に入れたらすぐに保存してください。その際、変色したり水分が抜けたりして味を損なわないよう、密封できる袋などに入れ冷蔵庫で保存しておきましょう。
収穫量が多くすぐに食べきれない場合や長期保存したい場合は、水洗いして水分を拭き取っておきます。
こうすることによってヤマモモどうしがくっつかなくなり、綺麗な状態を保つことができるので、丸ごと冷凍しておいて大丈夫です。
ヤマモモのおいしい調理法
生で食べきれないほど収穫できた場合は、加工品を作るのがおすすめです。簡単に作れる3つの加工品の調理法をご紹介しますので、ぜひお試しください。
●ヤマモモのシロップ漬け
- ヤマモモ500グラムをよく洗って鍋に入れます。
- 砂糖20グラム、レモンスライス3枚、ヤマモモがつかる程度の水を鍋に加えましょう。
- 鍋を火にかけて、沸騰してきたら弱火にします。
- 合計80グラムの砂糖を5分おきに15グラムずつ分けて加えていきます。
※一度に大量の砂糖を入れてしまうと、ヤマモモの実が縮みます。必ず分けて入れましょう。
- 熱いうちに保存瓶などに入れて出来上がりです。
●ヤマモモのジャム
上のヤマモモのシロップ漬けを作るやり方を基に、以下の点を変更します。
- ヤマモモの頭が出るくらいの水の量にします。
- 砂糖は味見しながらご自分のお好みの量にふやしてみてください。
そして、よく煮たら裏ごしして種を取り除いてから保存瓶などに入れて完成です。
●ヤマモモの果実酒
- ヤマモモ1キログラムと氷砂糖200グラム、ホワイトリカーまたはブランデーを1.8リットル用意します。
- ヤマモモをよく洗い、タオルで水分をきっちりとっておきましょう。余分な水分はできる限り取り除いたほうが、ヤマモモの味が凝縮されます。
- 保存瓶にヤマモモ、氷砂糖、ホワイトリカーまたはブランデーの順番で入れていきます。
- ぴったりと蓋をしめて冷暗所に保存しておきましょう。
- そのまま3か月ほど放っておくだけで完成です。
このように、ヤマモモの実はさまざまな方法で食べることが可能です。しかし、実を楽しむためには、ヤマモモの木が実をつけるように育てる必要があります。
そこで重要となるのが、収穫量を安定させるためにどの程度花を残すのかや木の大きさ、生長のバランスを考えておこなう剪定作業です。
ただし、ヤマモモは大きく生長するため、自分での剪定は困難です。失敗のないようプロに剪定作業を依頼しましょう。
忙しくて業者選びの時間をとるのも難しい方がいるかもしれませんが、弊社の無料相談窓口は24時間365日対応しています。迷っている方は見積りだけでもかまいませんので、お気軽にご相談ください。